ここは、ぺったんこ公園の片隅にある仮設のテント。悪そうな気配をまとったカワイイ・サグたちが、完成したばかりの巨大プリンを囲んでいかにも悪そうに微笑んでいた。

フフフ♪

フフフ♪

フフフ……
きっと悪い密談をしているんだろうね。怖いね:;(∩´﹏`∩);:

ついに完成したでござるな!

わしらの手作りプリン!

ふぉおおおおお、おいしそうッ!

お、おう……!

ぺったんこ公園に遊びにきたら、怪しいテントが設営されていたから

興味本位で覗いてみたら、巨大プリン作りを手伝わされたよ……

しかも、このプリン

さて、さっそく食べてみようか

見た目はとってもおいしそうなんだけど、原料はシリコンなんだよな💦

おうよ! なんといっても、あのプリンマスターのフォーさんが教えてくれた秘伝のレシピよ

しかも、アクリル絵の具で着色してあるしよ

おいしくないわけがないよね!

あたし、もう待ちきれないよ!

とうてい口に入れてよいものではない

どうやって分ける?

それに、一個がでかすぎるんだよ

前にフォーさんたちと100リットルプリンを山分けしたときには

みんなが平等にもらえるように分けたかな

ここには今、七人いるでしょう?

だから七人で平等に分けましょう!

とびっきり大きいプリンに憧れる気持ちもわかる

それでもせいぜい、200mlが限界だろう

例えばプリン原液100リットルをシラフで飲めるやつ、おる?

おらんよな

え、ちょっとまって、なんできりたんぽさんたちはひとりなのに五人分でカウントしてるの?

それはもちろん、わしらはひとりだけど五人だもの

100リットルのプリンも同じことよ

そもそも、シリコン製だしよ

そ、そんなこと言ったら、俺らも三人ってカウントできるもん!

ほら、わしら高度な連携プレイで完璧な集団行動しているだけで、それぞれはバラバラの個体ですから

食えないって

お、俺らも本気出したら、三人と串に分離できて四人になれるもん(‘ᾥ’)!

串には人格がないから一人として認められません!

認めてくれっ……!

ま、百歩譲って認めてやってもいいけどよ

そしたら、わしらも串を分離するまでよ

……

え、おまえらそんなことまでできちゃうの!?

聞いてないよ:;(∩´﹏`∩);:!

ふふふ……わしらはきりたんぽ。利便性のために普段は串にくっついているが

こいつらいったい、なんの話をしてるんだ?

きりたんぽとしての本領を発揮するのは、串から取って切った後よ

(‘ᾥ’)グヌヌ

話についていけねぇ

つまり、わしらが本気を出せば串を分離して、正式きりたんぽフォームになって、頭数は無限大!

理論上、わしらが分裂すればするほど取り分は100%に近くなり

おまえらの取り分は限りなくゼロに近くなる!

配分の際には便宜上、無限小は無視しよう!

おまえらの分け前は、もはやプリンの気配だけだぜぇ!

ぎゃはははははは🤪

お、おう……俺はそれでいいぜ?

だってどう見ても食えないプリンだしな

プリンは好きだけど、このプリンは要らない

お、俺らだって、おだんごの可能性は無限大!

ちぎって小さくなればいくらでも小さくなれる!

みてろよぉ……!

おおお、やるやん!

なかなかのつぶつぶっぷりだぜ

ほんとに?

うん。小麦粉を丸めてできた本職の俺が言うんだから間違いないよ

俺は、おだんごの極小形態といっても過言ではないからな♪

!?

なんだとッ……!

以前から、クスクスさんはタダモノじゃないとは思ってはいたが

まずい、このままだと俺らの取り分が本当に無限小になっちゃう!

はえっ? もしかして、俺のこの粒一つ一つに分け前が与えられるってこと?

い、要らないよ!

プリンは二人で仲良く分けてくれ💦

いいや、他人の権利を奪う権利はわしらにはないッ

俺の権利は放棄しますってば!

正々堂々と勝負しようぜ(‘ᾥ’)グヌヌ

どこまで己を細分化して、プリンの分け前を最大化するか

いざ勝負!

お、おい……💦

パァアアアアン!

……無理すんな?

ズギャァアアン

ギャァアアアアアア🥹

無理すんなアッ!?
テントの中では、きりたんぽさんとおだんごさんが自発的にスプラッタ状態になり、その余波を喰らって、クスクスさんもお皿から吹っ飛ばされて粉砕された。

ふんふふ~ん♪

おや、見かけないテントであるな?

新しい違法屋台かな?

どれ、中を覗いてみてみよう

ちらっ

😇

_( :⁍ 」 )_

😵

!?
あにじゃは一呼吸ののち、そっとテントの入口を閉じました。

巨大なプリンの周りに、無残に粉砕されたきりたんぽさんと、三色団子の残骸みたいなのと、変わった形のお米みたいなのが散乱してたのである

……どゆこと?

警察的なやつに通報したほうがよい?

チラッ
あにじゃは、いつも持ち歩いている愛用のダガーに目をやり、それからあたりをきょろきょろと見回した。

むむっ

バラバラになってるのは、我のせいじゃないよ?

わ、我はなんもしてないよ!?

:;(∩´﹏`∩);:

|彡サッ
そのあと、プリンの出来栄えを見にきたフォーさんに発見されて、三人は事なきを得たらしいけど、100リットルプリンを分けるときは興奮しすぎないように、冷静に行動するのが吉みたいだね🥹