
たぷっ

くそぅ、まだお水が入ってる😩

まんまる野郎にしてやられた🥺

だが俺は世界征服の野望をあきらめてはいない

世界中の珍味を全部食い尽くすんだ

さりとて、まんまる野郎に強襲されてお水を入れられたのはトラウマ

たぷたぷ

壺=花瓶って勘違いしてる素人は本当に困る

……

素人、怖い:;(∩´﹏`∩);:

ひとりでお出かけするの無理:;(∩´﹏`∩);:

なんとかして冒険の仲間ができないかな?

けど遺跡に籠ってたら出会いもないし

仲間を探しに外に出れば、ひょんなことからまんまる野郎みたいな素人に遭遇するかもしれない

またお花を生けられちゃうかもしれない:;(∩´﹏`∩);:

困ったぞ🥺
――ガタンッ!

ん? 物音がする。侵入者かな?

遺跡の遺物を生業にするということは、つまりイメージ商売をするということ

なによりもロマンが大事

俺は人にロマンを与える存在になりたい

それは世界征服の野望よりも大切なこと

急いで赤いお座布団を敷いて、由緒ありげな壺の佇まいをしなくっちゃ!

たぷぷ
魔つぼが赤いお座布団にそれっぽく鎮座した瞬間、秘密の小部屋の扉が意味深に開きはじめた。姿を現したのは……

いいぇぇえい! 盗掘ぅ🤪! 遺跡を漁ってお宝ゲットだぜ!
いかりビーンズの問題児、あにじゃだ!
武装とテンションがものすごい!!

おおお! やっぱり、この部屋にもお宝がある! 我の見立てに間違いはなかった!

ふふふ、ちょうどいい

重武装してて強そうだし、お水もお花も持っていない

なにより頭が悪そうな雰囲気がものすごい

俺の子分にしてこき使うのにぴったりじゃないか?

ふむふむ、こいつは立派なおざぶの上に鎮座しております

由緒正しき古代の壺に違いない!

里に持って帰れば、長たちも我のことを見なおすはずだ!

我はこの手柄を必ずや里に持って帰る!

いいぞいいぞ! その調子で俺を連れて外に出るのだ🤪

うんしょ

……

ドンッ

なぜだ!

なぜ俺をおろした!?

めっちゃ重い……

!?

お持ち帰りするの、考えただけで膝が震えてきちゃった

我には無理

諦めないで!

!?

あ

しゃべった! 壺がしゃべった!

ふっ

そうだ、俺はしゃべる壺だ

ならば要らん

なんでぇ!?

しゃべる壺って非常に貴重で珍しいんだぞ!!

長老たちは超保守的であたまカチンコチンな頑固ジジイどもだから、壺はしゃべらないもの、と決めつけている

長老たちの価値観に合った壺を持って帰らないと、手柄にならない!

なんだとぉ!?

……

俺はしゃべってない、なにかの間違いだ

俺は壺。壺はしゃべらない。いいね?

そもそもお前、重すぎる

ほかのを探す

|)彡サッ

待って! 重いのはなにかの間違い!

俺は魔法の壺だから! 重力を超越してるから!

たぷっ

百歩譲って重いとしても、それは邪悪で血のように赤いまんまる野郎に水を入れられたからです!
シーン

……

おい、おバカビーン!

俺の話、聞いてる?

もう行っちゃった?

……

くっそぉおおおおおお、まんまる野郎め、水なんか入れやがってぇえええ!

いつまでたっても乾かないし、重いし!

ちっくしょぉおおおおおおおお。・゚・(゚`ω´゚)・゚・。!!!
魔つぼは花瓶じゃないみたいだけれど、本当はなにを入れる用の壺なんだろうね?