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チャット小説

非実在サンタとクリスマスダンス対決 #2

前回までのあらすじ

人相の悪いトリさんたちと、ダンスガチ勢の妖精さんたちは、それぞれクリスマスパーティにサンタさんを招待したいと思っていた。だが、サンタさんの滞在情報のソースはぺったんこウェザーニュースであり、その真実性には大いに疑問符がついていた。

いもこ
いもこ

プ、プライバシーの保護の観点から、連絡先を教えることはできないじゃんね

いもこ
いもこ

ガクガクブルブル

妖精
妖精

それなら、編集部を通じてサンタさんに出演依頼をすることはできないかな?

妖精
妖精

クリスマスパーティにあの人が来てくれれば絶対に盛り上がると思うんだ!

妖精
妖精

仲介手数料を取ってもいいよ?

妖精
妖精

どう? お仕事として引き受けるんじゃ、だめ?

いもこ
いもこ

うーん…… 

???
???

コンコンコンッ

 いもこが答えあぐねていると、玄関のノッカーが控えめに叩かれる音がした。それからそろりと遠慮がちに、人相の悪いトリさんたちが入ってきた。

とりさん
とりさん

こんにちは

とりさん
とりさん

普通に扉を開けられたから入ってきちゃったけど

とりさん
とりさん

不法侵入なんて、俺らとっても罪深いことをしてる……

 どうやら彼らも、サンタさんの連絡先を求めて編集部にやってきた来たようだ。

いもこ
いもこ

今日は、千客万来だぁ(涙)

とりさん
とりさん

あ、お客さんがいる

とりさん
とりさん

俺ら、外で待ってます

いもこ
いもこ

外に行かなくても大丈夫じゃんね

 いもこはトリさんたちにも椅子を用意してお紅茶を振る舞った。

とりさん
とりさん

わぁあ、おいしい!

とりさん
とりさん

素晴らしい香りですね!

とりさん
とりさん

俺、このお紅茶気に入った!

いもこ
いもこ

ふふふ、お気に召してもらえてよかったよ

いもこ
いもこ

さて、妖精さんたち。先ほどのお話の続きなんだけど

いもこ
いもこ

ガクガクブルブル

 なにかに怯えた様子のいもこが、妖精さんたちに向きなおった。

いもこ
いもこ

やっぱりサンタさんに招待状を出したり取り次いだりするのはできないじゃんね

いもこ
いもこ

ごめんね

妖精
妖精

そんなぁ!

妖精
妖精

そこをなんとか!

妖精
妖精

私たち、クリスマスパーティにどうしてもサンタさんを招待したいんです!

とりさん
とりさん

とりさん
とりさん

ヒソヒソ

とりさん
とりさん

ひょっとして、この人たちもサンタさんがお目当て?

とりさん
とりさん

そうみたい?

とりさん
とりさん

でも、いま無慈悲に断られたよ

とりさん
とりさん

やっぱりサンタさんを招待するのは罪深いことなんだ(涙)

いもこ
いもこ

罪深いってわけではないじゃんね

いもこ
いもこ

編集部としては、あのサンタさんに取り次ぐことはできない。ただ、それだけじゃんね

妖精
妖精

なんでよぉ

とりさん
とりさん

仲介はレギュレーション違反ってこと?

妖精
妖精

やっぱり、めんどくさがらずに自分の足でサンタさんを探しに行くしかないよ

妖精
妖精

そうだね……

妖精
妖精

編集長さん、お騒がせしました

妖精
妖精

お話を聞いてくれてありがとう

妖精
妖精

次のお客さんも待ってるし、私たちはそろそろ退散します

いもこ
いもこ

ご希望に添えなくてごめんじゃんね

 妖精さんたちが連絡先の入手をあきらめてサンタさんを探しにいこうとした、そのときだった。

とりさん
とりさん

待ってください

妖精
妖精

え、なに?

妖精
妖精

どうしたの?

妖精
妖精

そのトサカ、かっこいいね!

とりさん
とりさん

ありがとう///

とりさん
とりさん

あのね、俺らはクリスマスガチ勢だから

とりさん
とりさん

なにがなんでもサンタさんをクリスマスパーティに招待したいって思い詰めてここに来た

妖精
妖精

つまり、私たちはライバルってこと?

妖精
妖精

よーし、どっちがサンタさんをゲットするか競争しようぜ!

とりさん
とりさん

望むところだぜ!

妖精
妖精

イェェエエイイ!

とりさん
とりさん

待って、そうじゃない

とりさん
とりさん

え、ちがうの?

とりさん
とりさん

よかったら、俺らと手分けしてサンタさんを探さないかな?

とりさん
とりさん

そうしたら、俺らも三人いるし、二倍確実にサンタさんを見つけられる

妖精
妖精

それもそうだねぇ

とりさん
とりさん

でも一緒に探しちゃうと、クリスマス当日にお互いサンタさんをシェアしないといけなくなるよ

妖精
妖精

できればサンタさんを独占したいけれど、見つけられなければ元の木阿弥だしな

妖精
妖精

しょうがないよね

妖精
妖精

時には妥協も必要

妖精
妖精

共闘しましょう!

とりさん
とりさん

背に腹は代えられないよね

いもこ
いもこ

まずい……!

いもこ
いもこ

このままではクリスマスまでにあのサンタっぽいオーラの強い人が見つかってしまう

いもこ
いもこ

あの人が彼らのクリスマスパーティに参加した場合

いもこ
いもこ

あまりに強いサンタオーラ故に、本物のジェニュイン・サンタさんがクリスマスパーティに参加しているように見える

いもこ
いもこ

そうすると「ぺったんこタウンに本物のサンタさんが滞在している」というフェイクニュースが、フェイクではなく本当のニュースだったと世間に認識されかねない

いもこ
いもこ

今回のニュースも、一生懸命作ったとっておきのフェイクニュースだから、なんとしてもフェイク性を死守したいじゃんね

いもこ
いもこ

どうすればいい、俺はどうすればいいんだ

いもこ
いもこ

ガクガクブルブル

いもこ
いもこ

……あっ!

いもこ
いもこ

くっくっく

 慌てふためいたいもこは動転のあまり、いかにも悪党っぽいくぐもった笑い声を立てた。トリさんたちと妖精さんたちが、一斉にいもこの方に振り返った。

いもこ
いもこ

サンタさんを探す必要はないよ

いもこ
いもこ

君たちのクリスマスにかける情熱、よくわかったじゃんね

妖精
妖精

編集長さん、いきなりキャラが変わっちゃったけど大丈夫?

とりさん
とりさん

さっきまで、情けなさそうな顔をしてぷるぷると震えていたのにね?

妖精
妖精

なにはともあれ、元気になったのはいいことだよ!

妖精
妖精

一緒に踊ろうぜ!

とりさん
とりさん

俺も俺も!

いもこ
いもこ

ふふふ……ダンスが大好きな君たちに、提案がある

いもこ
いもこ

クリスマスの前に、サンタさんとのパーティ権をかけたクリスマスダンス大会を開催しようと思うんだけど、どう?

いもこ
いもこ

こぞってご参加しない?

とりさん
とりさん

クリスマス・プレイベントですか

とりさん
とりさん

いいですね!

いもこ
いもこ

クリスマスへの想いをダンスに込めて、魂と魂のぶつかり合いをするじゃんね?

妖精
妖精

楽しそう!

いもこ
いもこ

勝った人は、クリスマスの日にサンタさんを独占できるじゃんね

妖精
妖精

本当に!?

妖精
妖精

だったら、全力で勝ちに行くしかないじゃん!

とりさん
とりさん

は? 勝つのは俺らだぜ?

とりさん
とりさん

本職のパフォーマーをなめんなwww?

 いもこのその場しのぎの提案で、サンタさんとの独占パーティ権をかけたクリスマスプレイベントが開催されることになった。

しばらくして、ぺったんこウェザーニュース編集部

 ダンスガチ勢の妖精さんたちと人相の悪いトリさんたちが帰ったあと、しばらくして取材を終えたかつおが帰ってきた。

かつお
かつお

ただいまー♪……ヒェッ

 いもこの憔悴しきった様子を見て、かつおは思わす息を呑んだ。

かつお
かつお

いもこ、どうしたの!?

かつお
かつお

気を強く持って?

いもこ
いもこ

俺は、なんとしてでもサンタさんを死守しないといけないじゃんね……

かつお
かつお

え、なんで?

いもこ
いもこ

それには、ダンスガチ勢とクリスマスガチ勢を倒さないといけないじゃんね

かつお
かつお

どういうこと?

いもこ
いもこ

……

かつお
かつお

どうして倒さないといけないの?

いもこ
いもこ

0(:3 )~ (‘、3_ヽ)_

かつお
かつお

ねえっ!?

つづく