前回までのあらすじ
元ジェニュイン魔王にふさわしい悪評を得るために、魔王たちはぺったんこ小学校のキッズたちを次なる標的とした。だが相手は子供とはいえ、一人前のカワイイ・サグの面構えをしている連中だ。
暗黒アウトローの精神を持った無法キッズたちは、小学校の近所の公園を学校帰りに荒らすのをルーティンとしており、魔王の手作りのサンドイッチも一方的に強奪されるかに思われた。
ヒャッハー！ 食っちまおうぜ！
おいしそう！
ベリベリベリベリ！
わーい！
キッズたちはハイエナの気迫でランチボックスを開けると、ものすごい勢いでサンドイッチを食べはじめた。
もぐもぐもぐもぐ
ぱくぱくぱく
ぺろりんこ😋
その勢いは、誰にも止められそうにない。だって、このサンドイッチはからしも控えめで肉だくなうえにデザートのフルーツまでついている。そりゃあキッズたちは大喜びで平らげちゃうよね🥹
そわそわ
ねえ、きなこ。このままだと普通にサンドイッチをごちそうして終わりになっちゃって、悪事になりそうにないよ💦
まあまあ、焦るなって……魔王、準備はいい？
俺はいつでもオッケーだよ♡
じゃあ連中が食べ終わる前に、できるだけ気配を消して背後から接近して
そんで、俺が合図をしたらキッズたちに声をかけてほしい
なるべく不意打ちな感じで頼んだよ
わかった♪
魔王はきなこの言うとおり、音もなくキッズたちの背後に移動した。
いったいなにがはじまるんだ！？
そわそわ
落ち着けよ。外野の俺たちが焦ってもしょうがないだろ
ちゃんと魔王に出来る悪事を考えたから、大船に乗ったつもりでいてくれって
いやね、食事中ってわりと無防備だから、背後から声を掛けられるとびっくりするじゃない
それに相手はキッズでしょう？ もしかしたら、声かけをしなくたって警察に通報されちゃうかもしれないわけよ
うん。俺が狙っているのはまさにそれよ
事案になれば、魔王の評判は地に落ちたも同然
ﾋｪｯ
やっぱりあの人は元魔王だから油断ならないよねっていう悪評が立つ
それはさすがに、えげつないよ:;(∩´﹏`∩);:
俺も我ながらえげつないなとは思うけどさ、からし入りのサンドイッチにすら満足に仕掛けられない魔王だよ？
もう、不審者枠で悪人ムーブを狙うしかやりようがないよ💦
そうなんだよね ( ˘•ω•˘ ).｡oஇ
でも、それにしたって他にやりようが――
あ、そろそろキッズたちが食べ終わりそうだ
いまだ、魔王！ ぬっと姿を現して、子供たちに声掛けするんだ！
きなこがボフッときなこを吐いて魔王に合図をすると、魔王は茂みからぬっと立ち上がった。
君たち、拾い食いは危ないよ
ああ？
なんだおまえ？
変なおじさんがいる！
特にサンドイッチは傷みやすいから、出所不明のサンドイッチを食べるのは食中毒の危険が危ないよ
なんだよ、いきなり出てきてうるさいな
俺たちは、俺たちが食べたいものを食べるんだ！
おなかが痛くなるかもしれないよ？
くんくん
ねえ、このおじさんから、おいしそうな匂いがしない？
くんくん
なんかうまそうなものを隠し持ってるな？
くんくん
こういうやつが、あんがいいいもん持ってたりするんだよな
いい子にしてたら、おいしい飴ちゃんをあげるよ！
あっはー！ こいつ、おいしい飴ちゃんを持ってるってよ！
いい子にしてなくても、奪い取ればこっちのもんよ！
めんどくさい説教おじさんみたいだし、やっつけて飴ちゃんパーティしようぜ！
もぐもぐごっくん
もしゃもしゃぺろり！
ごっくんこ！
無法キッズたちは、サンドイッチを最後のひとかけらまできれいに食べきると、おのおのの武器を手に魔王に襲い掛かってきた。
うらぁあああ、覚悟しろよおっさん！
慌てなくても、飴ちゃんは逃げないよ
おいしい飴ちゃんをよこせぇえええええ！！
シュババババババババッ
やれやれ
オォオォォオオオオオ
君は魔法が使えるんだね？ 学校で習ったのかな？
ズギャァアアアアアアン
すごいすごい♡
うわぁああ、魔王がキッズたちに寄ってたかって攻撃を喰らっている(´ฅωฅ｀)💦
ぼたもちさんたちも助けに入ったほうがいいんじゃないの？
いや、その必要はないみたいだぜ
両者の激しいぶつかり合いによって生じた土埃がゆっくりと晴れていく。
……
……
……
……
無法キッズたちと魔王たちはお互いに背を向け、攻撃態勢のまま無言で立ち尽くしている。
ど、どういう状況？
相打ちか？ ――いや
無法キッズたちの体がぐらっと傾き、
(‘､3_ヽ)_
0(:3 )
_:(´ω`」 ∠):_
た、
倒しちゃったー！？
魔王は、子供たちに声かけするはずが、あまりにも無法な相手ゆえにうっかり倒してしまったね。悪評を得るためとはいえ、さすがにやりすぎちゃったのでは:;(∩´﹏`∩);:
次回最終回。魔王は思惑どおり、みんなに凶悪な魔王って認めてもらうことができるのでしょうか？
